本当の話
夢みたいな本当の話。
しょうがないから送ってやるよ
とふざけ口調で誘ってくれたあなたに、言葉は素直に返せたと思う。
ほんとに?ありがとう!やったー
そんな話をしたのは、もう一ヶ月半前の話。
言葉は素直に返せたけれど、口調は棒読みになっていたと思うし、あたしもふざけた口調になっていたと思う。
あの時、もっと、本音の口調で言えば良かったと思う。嬉しいよって。そういう素直な気持ち、ちゃんと出せば良かったな、と。出していたら、状況は変わっていたのかな、と。
普段は、ヘラヘラ笑います。
ぼけーっとしています。ニコニコします。
でも、それは取り繕ったもので。上部だけのもので。本当は違うんだよって。
好きだよって。
あの人が、皆にお菓子を買ってきました。あの人が皆にお菓子を買ってきたのは初めてでした。その日はあたしの誕生日でした。
これは、偶然ですか?それとも、覚えてた?
恋をすると、都合のいい勘違いをしたくなるみたいですね。
この間、あたしがオススメしたものを買うか迷って辞めていました。
でも後日、それを持っていました。
やっぱり買ったんだ
ねぇ、それも、勘違いなのかな。
ねぇ、ねぇ、ねぇ。
聞きたいことが、本当は山程あるよ。あなたにだけ聞いてほしいことが、いっぱいあるよ。
あなたに教えてほしいこと数え切れないほど出てくると思うし、あなたに教えたいことが星の数ほどある。
あなたに色々、質問されたいし、知ってもらいたい。
あなたはあたしの気持ちを知った方がいいのかな。知らない方がいいのかな。
どっちが幸せなのだろうか。
あの日、あなたがあたしに大事な話をしてくれた、その事実が特別な事です。
それだけじゃ、足りないのでしょうか?
ねぇ、ねぇ、ねぇ。
先の言葉を飲み込んでしまうあたしがいて、あなたは無理に聞こうとはしないけど。それが嫌だよ。
もどかしいね。
あなたの中であたしはどんな存在なんだろうね。
あの日、あたしはあなたの事が好きだと気づきました。
嘘のような、本当の話です。
止めどなく溢れて、もうそろそろ零れてしまうよ。
あなたがあたしに大事な話をしたように、あたしがあなたにこの本当の話をする日は、訪れるのかな。
溢れた感情を、零れた気持ちを、一つでいいから、拾ってほしい。
掬ってほしい。一つでいいから。